感情揺すぶってくる。タスマニアにあるMONAミュージアムとは。

タスマニアにある最大の街ホバートにて、
衝撃的なミュージアムに出会いました。

MONA (Museum of Old and New Art)ミュージアム。

賭博王デヴィット・ウォルシュが建てた私設美術館ですが、
個人のものとは思えない規模の大きさです。

現代アートがメインですが、
目、耳、鼻から訴えてくる情報が全て過激で、純粋な好奇心をそそられます。

その魅力をたっぷりとご紹介致します。
(長文注意、お付き合いください…)

 

 1. 設備がすごい

1.1 建築の美しさに圧倒される

MONAは海に面して建てられており、
こちら側からホバートの街を見ることができます。
建物自体だけでなく、階段の形や光の使い方、その全てが工夫されています。

 

1.1.1 美術館の外観がアート

美術館が鉄板で囲まれ、その姿は要塞のようです。
夕日に照らされるその姿は美しく、ライトアップも素敵ですね〜。
この写真を撮るためにはフェリーで海側から訪れましょう。

 

1.1.2 建物の中が探究心をそそる

地下3階まで薄暗い螺旋階段を降り、
行き着いた先は周りに岩の壁がそびえ立つピラミッドを思わせます。

一体何が待っているのか、光とそり立つ壁の圧迫感が
あなたを好奇心をくすぐります。

 

1.1.3 周辺のアートも見逃せない

見所は美術館の中だけでなく、その周辺にもあります。
闇に浮かび上がる美しいチャペルや、
太陽の動きで光と空間を楽しめる見晴台。
壁と壁に潰された車など、外だから楽しめる展示物も注目してください。

 

1.2 機器

1.2.1 The “O”

全ての展示物に説明の掲載は一切なく、
上記のiPodを使って展示物に関する情報を得ます。

赤い丸ボタンを押すと、位置情報により近くの展示物の説明が読んだり聞けたりします。
(残念ながら日本語はありません)

全て無料で、使い方はいたってシンプル。

自分のiPhoneに”The O”をダウンロードすることもできますが、
その際はヘッドホンをもらうのを忘れないでくださいね!

 

1.3 味覚

1.3.1 バー・カフェ・レストラン

回るのに疲れたら、エネルギーをチャージしましょう。
1階には入りやすいカフェがあり、コーヒーやちょっとしたケーキも売っています。

カキ(港町なので美味しい!)やハム、ソーセージやチーズの楽しめるレストランもあり。
デッキで夕日を見ながら贅沢な時間を過ごしましょう。

1.3.2 ワイナリー

美術館の周りはワイナリーで囲まれています。
ツアーもあるので試したい方はインフォメーションデスクで申し込みましょう。
ツアーの時間や料金はMONAの公式サイトで確認を!

 

 

2. 衝撃的な展示物

[性と死の美術館](Sex and Death Museum)と呼ばれるだけあって、
そのどれもが人間の基本的な感情や欲望を刺激するものばかり。
驚き、恐怖、感動の感情をいとも簡単に揺すぶってきます。
展示物は常に変化しており、今回ご紹介するもので見れないものもあるかもしれません。

 

2.1 地下1階/On the Origin of Art (2017年4月終了)

[私たちにはアートが必要である][でも、何のために?] その答えを創設者のデイビット・ウォルシュは4人の科学者に聞きました。

 

 2.1.1 MARK CHANGIZIの答え: 文明が自然を真似た


材料に本物の人間/動物の毛を使用
私たちは音楽や言語といったアートを本能的に持っているわけじゃない。
それらは文明の発展によるものである。
アートは人間の本能的なものではない、しかしアートは人間が本能的にもつ
“他者との関わり”に反応するものである。

2.1.2 BRIAN BOYDの答え: アートはパターンを認知する遊びである

人の動きに合わせて音がなる展示物
芸術の起源を理解するには全ての種類の動物や植物が互いに情報を伝達する
[伝達システム]を検討する必要がある。
花が聴衆(鳥や虫)の嗜好を反映して増殖するように、
“アーティストの欲望”と”聴衆の嗜好”の相互作用によって結果が増幅していくものである。

2.1.3 GEOFFREY MILLERの答え: アーティストはクッソほどセクシーだ

目の色や髪の色にだって嗜好が現れる
“受け取る側”は目の保養のように、ただ喜びとしてアートを消費していく。
ではなぜ”送る側”は限られた時間、エネルギーを使い、
リスクを冒してまで送るのだろうか。
それは大昔から変わらず、仲間(恋人や配偶者)を惹きつけるためではないか。
アートはその人の健康や機知、知性を伝える手段なのではないだろうか。

2.1.4 STEVEN PINKERの答え: アートを創造するのはできるからさ


アートは適応の副産物である。
例えばエリートとしてのステータスを手に入れたいという欲望が、
おしゃれな格好をさせ、美的感覚を生むように。
自分たちの喜びや満足以外の理由で発展してきたものである。

 

2.2 地下2階

2.2.1 機械が排便するCloaca Professional

この部屋に入るとツンとした匂いが鼻をつきます。
それもそのはず、ベルギーのアーティストWim Delvoyeが作ったのは
食べ物から糞を作り出す機械。
[現代の生活は無意味である]その言葉を、
全く目的のない、”最も使えない”この機械が表しています。
Cloacaには他にも種類がありますが、Delvoyeはこの機械を基本的には
絶対に売らないようです。
2年の交渉の末、MONAに展示されることになった貴重な展示物を言えるでしょう。

 

2.2.2 頭の中を覗けるArtifact

地面に落っこちた巨大な頭の中を覗くと、無数の手が動いて見えます。
この作品は、静止しているオブジェクトをストロボライトを使って
動いているかのように(アニメーションのように)見せるアートです。
まるでこんがらがった頭の中のような、夢の中のような、
不思議な気持ちにさせる力を持っています。

2.2.3 誰もが殺せるのに殺さない


金魚と包丁の入った洗面器。
誰もが金魚を殺せるのに殺しはしません。
人間の常識と理性だけでそこでいきている金魚達に不思議と生を感じます。
生き物の展示には賛否両論あるようですが、
個人の美術館だからこそできる強みだと感じます。

 

2.3 地下1階

2.3.1 マトリックスの世界に入り込んだようなsupersymmetry

日本人のアーティスト、池田亮司が作り出したこの世界は、
光と音に圧倒される近未来のような部屋。
自分が止まっていても光によってスピードを感じ、あまりの激しさに
ずっと居るとおかしくなるんじゃないかとすら感じます。
しかし一方で好奇心を刺激し、病みつきになるどうしようもない魅力を持っています。

2.3.2 人の体がアートになる

Cloacaを生み出したアーティストWimの作品です。
スイス人男性Tim Steinerは自身の背中をキャンバスとして差し出し、
Wimの”生きている作品”に加わりました。
人が展示されているなんてなかなかないですよね。

 

3. MONA 基本情報

・住所:655 Main Rd, Berriedale TAS 7011
・営業時間:10時-18時 基本火曜休館日
・入場料:$20-$28 (大人) / $15-$25 (割引)
・ホームページ:https://mona.net.au

 

4. まとめ

MONAのミュージアム自体もかなりぶっ飛んでますが、
そのホームページもユーモア溢れる記述になっています。

デイビットウォルシュの本に関して、
[Go and buy it, you cheap f*cker!] なんてFワードが飛び出したり、
[デイビットが酔っ払ってた時に買った展示品] という項目があったり。

そんな小さなジョークを見つけに、HPにもぜひ訪れて見てください。

ご紹介した以外にも数え切れないほど面白い展示品があります。

ぜひ訪れて見てください。